仕事からの帰り道に、道路を掃除する初老の男性がいます。手には大きなゴミ袋とトングを持って掃除をしています。誰に頼まれたわけでもなく、おそらく散歩を兼ねているのでしょうが、なかなかできることではありません。男性はだいたい1週間に1回か2回くらい掃除をしているようで、それでもゴミ袋を覗き見ると、けっこうな量のゴミが入っています。煙草の吸殻、空き缶、紙カップ、スナック菓子の包装紙などなど。悲しくなってしまいますね。ゴミを捨てる人は、おそらく悪意を持って捨てているのではないのでしょう。なんにも考えずに、持て余した不要物を自分の手から離す、それくらいの感覚なんだと思います。捨てたゴミによって道が汚れるとか、誰かが掃除してくれるとか、そんなことは夢にも思ったことはないのでしょうね。少しでもゴミを捨てれば厳しく罰せられる国もあります。それはそれで衛生的で、街はきれいになるのかもしれません。しかし、ゴミを捨てないという当たり前の気持ちも大事だし、捨てられたゴミをひとつひとつ掃除していく優しい気持ちも大事だと思います。